さくらばな… 分類和歌 「桜花散りかひくもれ老いらくの来むといふなる道まがふがに」出典古今集 賀・在原業平(ありはらのなりひら)・伊勢物語九七[訳] 桜の花よ、舞い散って辺りを花びらで曇らせてしまえ。老いがやってくるという道が、花吹雪(ふぶき)でわからなくなるように。 鑑賞藤原基経(ふじわらのもとつね)の四十歳の賀を祝った歌。老いそのものを擬人化して、それがどこかの道を通って来るという見方が当時あったのだろう。「なる」は助動詞「なり」の連体形で、ここでは伝聞の意である。いつまでも若々しくあれと願う気持ちが、折からの桜吹雪に託されて華やかに表現されている。 さくらばな… 分類和歌「桜花ちりぬる風のなごりには水なきそらに波ぞ立ちける」出典古今集 春下・紀貫之(きのつらゆき)[訳] 桜の花が風に散った、その風のなごりとして、水がないはずの空に花びらが漂い、まるで波が立っているように見えることだ。 鑑賞風に吹き散らされた桜の花びらが、空に舞い漂っているようすを詠んだ歌。空を水面に、花びらを波に見立てるという、「見立て」の技法を駆使した、いかにも『古今和歌集』的な歌となっている。散りゆく花に対する愛惜の念を、直接そうとは言わずに表現した。 |